top of page

観光・旅行業界における脱炭素施策

観光・旅行業界は、航空機やバス、ホテルなどで大量のエネルギーを消費し、多くの温室効果ガスを排出しています。気候変動を悪化させ、観光資源(自然景観、気候条件、野生動物など)の喪失や劣化を招く可能性があります。また、台風や洪水、熱波などの自然災害が頻発することで、観光地の安全性が脅かされ、観光客が減少するリスクが高まっています。そこで、観光・旅行業界においては、脱炭素に取り組むことが避けられない課題となっています。持続可能な観光への移行を進めるため、観光・旅行業界における脱炭素施策を推進する必要があります。

観光・旅行業界脱炭素施策

宿泊施設における脱炭素施策

  • プラスチックの使用廃止と包装材の削減:業務全体から使い捨てプラスチックを削減することで、廃棄物の発生を防止する。

  • 食品バリューチェーンの主要原材料の持続可能な方法での購入:主要な原材料が持続可能な有機栽培(認証済み)されたものであることを確認することで、バリューチェーンからリスクのある種類を排除することができ、生物多様性の向上につながる。

  • 食品バリューチェーンの構成要素の現地調達:主要原材料を地元のサプライヤーから調達することで、生産方法やエネルギー・マトリックスによっては、輸送による悪影響を避けることができる。

  • 食品関連の排出量の削減:会議やイベントなどで、植物性メニューを推進し、肉食の削減をする。

  • 高効率家電の導入:既存の照明器具をLED電球へ、旧式の冷却装置を空調設備に交換し、ボイラー/チラーを改修し、可変周波数駆動装置と人感センサーを導入する。

  • インテリジェントエネルギー管理装置の導入:スマートなエネルギー管理システムの導入により、部屋に人がいないときに自動的に照明を消したり、カーテンを閉めたり、サーモスタットを調整したりすることで、無駄なエネルギーの使用を防ぐ。

  • 廃棄物管理装置の導入:廃棄物の分別、リサイクル、リユース、コンポスト化、エネルギー転換を最適化し、物質転換率を高める。有害廃棄物の適切な廃棄物処理の流れを使用する。

  • 水管理装置の導入:ホテルに整水器や低流量ディスプレイを設置し、プールの水使用量を最適化する。雨水を回収し、中水を再利用するシステムを導入する。ホテルの灌漑スケジュールを最適化し、その蒸発塔システムを再開発する。水の無駄遣いを減らすために、ハウスキーピングや厨房のスタッフを教育する。

  • 電気自動車用充電スタンドの導入:宿泊客に電気自動車の充電ステーションを提供する。

  • 共有型モビリティサービスの導入:CO2排出量と交通渋滞を削減するため、大規模な拠点で共有交通機関を導入し、一人乗り通勤を削減する。

  • 施設内の再生可能エネルギー発電の導入:建物の残存負荷を満たすための不可欠要素として、再生可能エネルギーを施設内で発電する。風力発電、太陽光発電、地上の冷暖房源、バイオ燃料を含める。

  • 施設近くの再生可能なエネルギーの導入:ホテルがPPA、コミュニティ・ソーラー・プロジェクトにおいて、電力網とは別に(または準公益事業の提携企業とし)第三者からエネルギーを購入する機会を提供する。

  • 電化の促進:燃料の燃焼を動力源とした特定のエネルー使用から、電気駆動の冷凍機やヒーターの設置、施設内での蓄電などの電気動力源としたエネルギー利用へ移行する。

  • 持続可能な建物の設計、エネルギー効率の向上:ホテルのコンセプト仕様と設計に持続可能性基準を取り入れる。


ツアーオペレーターに関わる脱炭素施策

  • 出張の必要性の最小化:ビデオ会議やリモートワークの利用促進により出張を制限する。

  • 使い捨てプラスチックの事業からの排除:事業活動全体から使い捨てプラスチックを削減し、廃棄物などの発生を防止する。

  • 印刷物/パンフレットの削減:消費者向けに「ワンストップショップ」として機能するアプリの導入などにより、パンフレットやその他の消費者向け資料の製造を削減する。

  • オフィスのエネルギー消費量の削減:動作検知制御装置、LED照明、ベンダーとの契約におけるエネルギーパフォーマンス条項を盛り込む。

  • 保有車両の最適化:燃費の良い車両への投資、燃費モニタリングシステムの導入、ルートの最適化、運転手への効率的な運転技術の教育などにより、バス車両の効率性を高める。

  • より持続可能な交通手段の利用:旅行者がより環境に優しい交通手段(バス、電車、より持続可能なフライトなど)を利用できるように、可能な限り旅程を最適化する。

  • 出張の代替策の支援:スタッフに代替交通手段を選ぶよう促し、飛行機での移動が避けられない場合は、より持続可能なフライトを選択する。

  • 持続可能性パフォーマンスの測定:各店舗のエネルギー目標に対する達成状況をリアルタイムで確認できるダッシュボードを導入する。

  • 天然資源の持続的な管理のための現地提携企業との協力:環境に関する取り組みや天然資源の現地管理について、旅行先の提携企業と連携する。

  • 持続可能な旅の推進:消費者がより持続可能な旅行を選択するよう促す。たとえば、地域文化とのつながりを重視した経験ベースの旅行アプローチを促進し、意識的な意思決定を行い、旅行者のグローバル排出量を減らすことで環境に貢献する。

  • ホテルが持続可能性認証の基準を満たすようにする:提携するホテルが信頼できる持続可能性認証を取得していることを確認し、ホテルのコンセプト仕様に持続可能性を組み込み、具体的な持続可能性目標を設定する。

  • ホテルへの環境教育:環境ガイドラインの発行、二酸化炭素削減のための分かりやすい活動計画の提供し、ホテルが持続可能性の学びの共有、改善を推進するためのサポートフォーラムの開発などを通じて、グローバルな持続可能性基準を紹介する。

  • ツアーの持続可能性パフォーマンスの評価:二酸化炭素排出ガイドによる持続可能性トレーニングの修了や、観光客用に持続可能性に配慮した実践を含めるなど、ツアーの持続可能性基準を評価する。

  • オフィスのエネルギー効率の改善:化石燃料エネルギーから低炭素エネルギーへ移行し、自家発電による電力を使用する。

  • 旅行者向けオフセット制度の導入:旅行による排出旅先で排出される二酸化炭素をオフセットする可能性も含める。



※株式会社テックシンカーは、観光・旅行プランの低炭素化推進やカーボンオフセットを支援しております。


出典:A NET ZERO ROADMAP FOR TRAVEL & TOURISM, World Travel & Tourism Council (WTTC)

Comments


Commenting has been turned off.
bottom of page