米国の気候変動対策において、興味深い二重構造が浮き彫りになっています。連邦政府レベルでは、トランプ大統領が公約通りパリ協定からの離脱を表明する一方、州レベルでは「米国気候同盟」という超党派の連合体が、むしろ積極的に気候変動対策を推進する姿勢を示しています。
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トランプ大統領のパリ協定離脱宣言
トランプ大統領がパリ協定からの離脱を正式に表明し、世界に衝撃が走りました。選挙公約通りとはいえ、オバマ政権下で国際社会の一員として合意に至った重要な協定からの離脱は、米国のリーダーシップに対する信頼を大きく損なうものです。しかし、この決定は単に国際社会との軋轢を生むだけでなく、米国社会そのものの深い分断を浮き彫りにしました。
24の州と準州が参加する「米国気候同盟」が発足
24の州と準州が参加する「米国気候同盟」が、パリ協定の目標達成に向けた取り組みを継続することを宣言しています。連邦制を採用する米国では、州政府が相当の自治権を持っており、環境政策においても独自の取り組みを展開することが可能です。24の州・準州の知事による気候同盟の結成は、まさにこの連邦制の強みを活かした取り組みと言えるでしょう。また、この連合には、民主党だけでなく共和党の知事も名を連ねており、気候変動問題に対する超党派的な取り組みが進んでいることがわかります。カリフォルニア州やニューヨーク州など、経済的に重要な州が多く参加していることも注目すべき点です。
このような動きは、トランプ政権の決定が必ずしも米国全体の意思を反映しているわけではないことを示しています。むしろ、気候変動問題をめぐる米国社会の分断は、都市部と農村部、沿岸部と内陸部、そして世代間の価値観の違いを象徴するものとなっています。
「ボトムアップ型」の取り組みが今後のモデルケース
中央政府の方針に関わらず、地方自治体が主体となって環境政策を推進していく「ボトムアップ型」の取り組みは、今後のグローバルな環境政策のモデルケースとなる可能性を秘めています。気候変動対策において、もはや一国の中央政府の判断のみに依存することは現実的ではありません。気候変動の影響が既に地域社会で実感されており、対策の必要性について、より現場に近い州政府の方が切実に認識していることを示唆しています。州政府、地方自治体、そして民間企業や市民社会を含めた多様なステークホルダーの協働が、持続可能な未来への鍵となるでしょう。米国の事例は、その先駆的なモデルとして、世界中から注目されることになるはずです。
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