世界で主要なVER認証機関として、Gold Standard、Verified Carbon Standard、VER+、CCB Standards、Green-e、Plan Vivo、Climate Neutral Network、WBCSD/WRI Protocol、 VOC、CCX、Social Carbon、Greenhouse Friendly、DEFRA、CCAR等がある。そのうち、特にクレジット認証数が多く、認知度が高いと思われる、Verified Carbon StandardとGold Standardを紹介する。
Verified Carbon Standard(VCS)
VCSは、現在約1,700件のVCS認証プロジェクトを有し、合計6億3,000万トン以上の温室効果ガスを大気中から削減または除去した。VCSの役割としては、認証プロジェクトによる排出削減が実確実に行われているか否かを確認し、プロジェクトの信頼性を確保することである。
VCSは自主的炭素市場に標準化を構築し、取引されるクレジットへの信頼感を持たせるため、VCSが認定した認証機関による有効化審査・検証・認証で通過したプロジェクトのみ登録される。
プロジェクトが認証されると、Verified Carbon Units(VCU)と呼ばれる取引可能なクレジットが発行される。このVCUは、個人や企業が排出量をオフセットする手段として、公開市場で購入することができる。
VCSは、再生可能エネルギー(風力発電や水力発電など)、森林(森林破壊の回避を含む)など、多様な分野を扱っている。1VCU(クレジット)は大気中から削減または除去される1トンの温室効果ガス排出量に相当する。
また次のような特徴を有する。
VCS基準:すべてのプロジェクトが認証を受けるためにVCS基準を遵守しなければならない、ルールと要件が定められる。
独立監査:すべてのプロジェクトは、独立した第三者による二次調査および現地の監査を受け、基準が満たされているか、方法論が適切に適用されているかを確認される。
方法論:各プロジェクトは、そのプロジェクトの種類に応じて、温室効果ガス排出削減量の定量化手法を用いて評価される。
登録システム:同システムは、登録されたすべてのプロジェクトのデータを一元管理し、すべてのVCUの登録、廃棄、取消を追跡できる。システムに登録するためには、プロジェクトがすべての基準と方法論の要件を満たしていることを示す必要がある。
開発・運営機関
International Emission Trading Association(IETA)、The Climate Group(TCG)、World
Business Council for Sustainable Development(WBCSD)、World Economic Forum(WEF)
Gold Standard
Gold Standard(GS)は、カーボン・クレジット取引市場における非政府機関の排出削減プロジェクトのための規格および認証プログラムである。このプログラムは、スイスのジュネーブに本部を置く非営利財団であるゴールドスタンダード財団によって運営されている。GSは、クレジットが検証可能、プロジェクトが持続可能な開発に貢献していることを保証するためのプログラムを設計した。
GSは2003年にWWFをはじめとする国際NGOによって設立され、パリ気候協定の「ネット・ゼロ」目標に向けたプロセスを加速させるとともに、より広範囲な「持続可能な開発目標」に向けたインパクトを誘発し、世界の「#GrowToZero」を支援する。現在は、幅広いNGOサポーターネットワークに支えられているGSは、90カ国以上で1900以上のプロジェクトが登録され、世界中で気候変動に関わるプロジェクトから多くの価値を生み出している。
プロジェクトがGS 認証を受けるためには、下記の条件を満たす必要がある
プロジェクトの適格性:再生可能エネルギー供給、植林・再植林、農業プロジェクト等であること。
追加性およびベースライン:クリーン開発メカニズムに沿った追加性の証明と評価ツールで評価する。
持続可能な開発への貢献:少なくとも3つの持続可能な開発目標(SDGs)への貢献、プロジェクトを受け入れる地域住民の経済的、環境的、社会的福祉に貢献すること。
環境・社会・経済についてのインパクトをスコア化し有効化審査を受ける必要がある。
開発・運営機関
WWF(World Wide Fund for Nature)、SSN(SouthSouthNorth)、Helio International などによって開発され、現在は独立した機関であるGS事務局によって運営されている。
Source:
VER(Verified Emission Reduction)認証機関・方法の概要、環境省
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